近年の技術発展により、人間は小さな努力で何でもできるようになり、テレビとスマホとパソコンを同時に見るなど、複数のことを簡単に同時処理できるようになりました。
でも複数のことを行うってことは、脳に何倍もの負荷がかかるってことですよね?
そこで気になるのが、
脳が同時処理できる容量ってどのくらいなの?
ってことです。
では、複数の情報を同時処理する脳の構造を見ていきましょう。
注意に関する実験結果
2つ以上のことに注意を向け、同時処理することを「注意の分割」と呼びます。
ポズナーとボイスは「二重課題の実験」により注意の分割効果を明らかにしています。
実験内容:2つの文字を1つずつ順番に提示し、そのどこかのタイミングで信号音を鳴らし、信号音に気付くまでの反応時間を調べました。
その結果がこちらです。
(Posner, M. I.& Boies, S. J. (1971)より)
1文字目までは反応時間が早く、2文字目が提示されるときに最も反応時間が長くなっています。
2文字目が提示されたときにんは1文字目との一致判断を行うのに注意がなされ、音への注意が薄くなっているためです。
同時処理するときの特徴
二重課題を含めた過去の実験成果から、注意の分割について様々なことが分かっています。
その1つが、「人の脳は一定の容量を持っていて、その容量以上のことはできない」ということです。
複数同時処理する場合には、各物事に必要とされる容量の合計値が脳の容量以上となると、処理エラーが発生しやすくなります。
特に複雑な課題には多くの容量が必要となるため、同時に処理できる数が少なくなります。(数的制限)
生活に潜む危険予防法
数的制限を超える処理を行う場合、処理能力が追い付かず、エラーが発生しやすくなります。
特にパソコンやスマホは情報量が多く、読む、打つ、スクロールなど大量の処理能力を必要とします。
また、外に出ると人も物も不規則に動くため、処理が困難です。
つまり、歩きスマホも移動も処理の重い行動であり、歩きスマホは大変エラーを起こしやすいんです。
しかも、どちらも視覚を必要とするので、どちらか1つにしか視覚による注意は向かない訳です。
絶対に同時処理できない2つなので、やめましょうね。
ちなみにイヤホンしながら歩くのは視覚と聴覚だからいいのかというと、そうでもありません。
それぞれに割り振られる処理能力は確実に少なくなりますので、エラーのリスクは高まります。
以上今回は脳の同時処理が可能な限界、「数的処理」をご紹介しました。
人は基本的には1つずつ処理することに慣れているため、同時処理は高い確率で危険が伴います。歩きスマホ含む「ながら行動」にはご注意ください。
(参考: COMPONENTS OF ATTENTION, Posner, M. I.& Boies, S. J. ,1971)