今がまさに水道インフラ老朽化のピーク

水道が本格的に整備され始めたのは昭和40年頃です。

整備された水道が老朽化ピークを迎えたため、平成5年頃に大規模更新が行われました。

更新まで約30年間とすると、ちょうど今!平成30年代が再び大規模更新時期に当たります

実際、近年水道インフラの老朽化が顕著に見られます。

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https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/chiikikondan/10/suishin_kondan_10-1.pdf

 

水道インフラの耐震化

老朽化と同時に課題として挙げられるのが、水道インフラの耐震化問題です。

一度地震が起きると、地中の水道管はもろに被害を受けます。

最優先で耐震化が必要な水道インフラですが、全国の水道インフラ耐震化割合は約36.0%と低いです。

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http://www.suikon-tohoku.jp/yobo_teian/pdf/h28_document3.pdf

さらに更新される水道数も年々減少してきていて、水道インフラの状態はどんどん悪化しています。

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https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/chiikikondan/10/suishin_kondan_10-1.pdf

特に水道整備が開始された当初は大規模な事業が多く、その大規模な水道インフラが先行して更新時期を迎えています。

そのため老朽化に伴う被害範囲が広く、早急な更新が求められます。

 

しかしグラフの通り、近年の管路更新率は0.76%と低いです。

単純計算すると、今ある管路を更新するだけでも132年かかります(1÷0.76%≒132)。

水道インフラの法定耐用年数は40年ですから、132年の間に追加の更新ピークが3回訪れるため、更新率改善がカギになりそうです。

 

更新しなかったらどうなるの?

「いま日本は不景気だし、今更新しないで、また好景気になってからまとめて更新すれば?」と考える方も多いでしょう。

実際初期整備された水道の大規模更新が計画されたのは高度経済成長期でした(行われたのはバブル崩壊後ですが、計画自体は崩壊前です)。

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https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0202-8g_0002.pdf

更新を先延ばしにした場合の水道インフラ健全度が上記グラフです。

経年化資産が法定耐用年数(40年)を超える水道インフラ資産で、老朽化資産はその1.5倍(60年)を超える水道インフラ資産です。

2040年には50%以上が法定耐用年数を超えて老朽化状態になります。

 

今20代のあなたは、2040年には家族ができる頃です。子供に安全な水を飲ませてあげられなくなります。

今40代のあなたは、孫にそんな苦しみを与えたくありませんよね?

水道インフラ更新はとても重要度なんです。

 

更新が難航している驚きのワケとは?!

水道インフラの老朽化・耐震化不足から更新が叫ばれる中で、管路更新率がわずか0.76%に留まっているのはなぜでしょうか?

本来なら国を挙げた大規模更新が行われてもいいはずですよね?

 

実は、理由はすごく簡単なことなんです。

多方面でよく使われる言葉ですが、少子化に伴う人口減少です

長らく増加し続けてきた日本の総人口は2008年に減少に転じ、人口減少社会に突入しました。

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総務省|平成28年版 情報通信白書|人口減少社会の到来

ですが、人口減少と水道インフラの更新難航にはどんな関係があるんでしょうか?

その理由を見ていきましょう。

 

水道インフラ業者が更新を遠慮しがち

人口が減少すると水道の利用者数も減少します。

そのため小さな事業体は経営が振るわず、更新費を賄えなくなります。

大きな事業体も利用者が少ない地域の管路更新を躊躇う傾向にあります。

水道施設の利用率は平成25年時点で全国平均59.5%です。

つまり約40%もの施設能力を持て余しているんです。

 

そりゃ事業体だって更新を躊躇いたくなりますよ。

しかも人口減少に伴い、将来はもっと利用率が低くなります。

下図は将来予測も含めた経年的な有収水量(簡単に言うと使用水量)を表したグラフです。

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https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/chiikikondan/10/suishin_kondan_10-1.pdf

人口減少が始まった2008年以降大きな減少傾向が続き、2100年の有収水量は現在の約60%にまで低下します。

その分料金収益が減少し、事業者側はますます困ってしまいます。

 

職人技術の継承者不足

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https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/chiikikondan/10/suishin_kondan_10-1.pdf

グラフは水道次号従事者数の経年変化を表しています。

近年はインフラ業界全体として従事者数が減少していますが、水道インフラ従事者は特に顕著です。

水道インフラ従事者は2008年の人口減少開始以前から継続して減少しています。

定年を迎える職人の技術が継承されず、将来の水道インフラ更新事業に不安が残ります

 

最後に

老朽化・耐震化不足に対応して、厚生労働省が中心となって対策を講じています。

人口減少に伴って水道インフラの更新問題は今後どんどん激化し、さらに注目されていくでしょう。

ポジティブな捉え方をすれば、人手需要が高まり、採用人数が増えていきます。

興味がある学生は水道インフラ業界への就職を考えてみてはいかがでしょうか。